UIJターン者成功事例

面白い仕事ができる環境を整えて、
自然なUIJターンを生む

沖縄と東京に拠点を持つIT企業・株式会社サイダス。都市圏で採用した社員が沖縄に配属され、UIJターンすることは珍しくありません。新製品開発のタイミングには、数十名の技術者や企画者が沖縄配属となったことも。そんな地方勤務も楽しんでもらえるように、採用活動では丁寧に面接をして「変化を楽しめる人」を選ぶと言います。採用担当の齊藤紋子さんに、採用活動での工夫や応募者とのコミュニケーション、沖縄配属が決まってからの社員のケアなどを伺いました。

プロフィール

沖縄県

株式会社サイダス
人事 齊藤紋子(さいとう あやこ)氏

大学卒業後、新卒で化粧品会社へ入社、百貨店にて販売職を経験。その後、サイダスの前身である会社で秘書として従事。秘書の基本から学ぶため、大手メーカーの役員秘書へ転職。約5年勤務し、再びサイダスへ入社。最初の2年間は代表秘書を担当し、2017年度より人事職に転向。現在は労務管理、新卒・中途採用、新卒教育など幅広い業務を担当する。

採用・人事の状況

IT業界は、とにかく変化が激しいもの。当社ももちろん例外ではありません。2017年から新卒採用を始めたり、コンスタントに中途採用をしたりはしているけれど、そのとき力を入れている事業によって、採用活動の内容は大きく変動します。必要な職種や、沖縄と東京どちらに人を増やすべきかといった状況が、どんどん変わっていくからです。
例えば、2019年度や2020年度の新卒採用は、沖縄をメインに行いました。インサイドセールスや電話サポートなど、東京でなくてもできる仕事が増えていたため、なるべく沖縄の雇用を活性化したかったからです。一転、2021年度は東京を強化する必要があり、全国的な採用活動を展開しました。今は新製品を開発しているタイミングなので、優れたエンジニアの中途採用も進めています。

このように「仕事の状況に合わせて、必要な人を必要な場所で採用する」という意識なので、「沖縄で働いてくれる人を探す」「UIJターンを促す」という感覚は、正直ありません。もちろん実状として、東京で採用した人に沖縄に転勤してもらうことは多々あります。でもそれは、採用した場所より、本人が希望する職種やキャリア、やってほしいプロジェクトなどを優先しているだけのこと。傾向としては、営業やカスタマーサクセスなどお客様に接する職種は、東京勤務。エンジニアや企画、インサイドセールスなどは沖縄で働くことが多いです。東京でも沖縄でもない地方から、フルリモートで勤めている社員もいます。

都市圏で新卒採用をするときには、知名度の低さが課題ですね。人事系システムを扱う会社ということもあり、学生にはほとんど認知されていないんです。応募を増やすためには、企業広報にもっと力を入れなくてはいけません。ちなみに当社は、沖縄県だとそこそこの知名度。沖縄に拠点があり、新卒採用をしているIT企業はあまりないため、学生さんにも支持してもらえているようです。

採用・人事の活動で工夫していること

当社が大切にしている採用基準は「変化が楽しめる人」「柔軟な人」。変化のスピードが速い業界だからこそ、主体的に動いて仕事を取りに行けるような人が活躍できます。一方で、入社時のIT知識はさほど重要視していません。特に新卒の場合は、当社が扱っている人事システムを使って、クライアントのどんな課題をどう解決したいか? 組織はどうやったら活性化できるのか? といった興味を持っていることの方が大事。やっぱり関心が強い人の方が、前のめりに楽しく働けるんです。

そんな人を見つけるために、選考の過程では新卒・中途を問わず、面接を大切にしています。現場で一緒に働くメンバーや取締役と、じっくり話してもらうんです。コロナ禍になってからの面談は、すべてオンライン。対面したときに少し「印象が違うな」と感じることはありましたが(笑)、致命的なギャップではなく、リモート面接でも問題はありません。

それから、説明会や面接、採用後の面談など全ての段階で、誠実なコミュニケーションを心掛けています。例えば勤務地のこと。中途の場合は勤務地の希望を聞きますが、東京で採用した新卒の約半分が沖縄本社に配属された年もありました。最初からそう伝えてはいても、東京で採用活動をするとなんとなく「きっと東京勤務だ」と思う内定者は少なくないようで……。家庭の事情などがある社員は考慮するけれど、基本的には、誰でも沖縄配属の可能性があります。だから、そういう事実は、最初から何度もしっかり伝える。あとから「聞いていた話と違う」と思われてしまうのは、どちらにとっても不幸なことです。きちんと予告をしているからか、入社後に沖縄配属が決まっても、今のところネガティブな反応をした社員はいません。沖縄という土地の良さもあって、転勤後も楽しく過ごす社員がほとんどです。移住や一人暮らしが負担にならないよう、家賃補助も充実させています。でも、なにか困ったことや問題があったらすぐにキャッチアップできるよう、上司と部下が1対1で面談をする機会は増やすようにしています。過去に一人、気候が合わずに体調を崩してしまった社員がいましたが、その方にはすぐ東京に戻ってもらいました。

今後のアプローチ

良い人材がたくさん来てくれるように、これからはもっと情報発信に力を入れなくてはと考えているところです。いまも、ブランド戦略部が中心となって、公式SNSアカウントなどを運用しています。学生さんも含めて、応募者はTwitterで情報収集していることが多いんですよね。面接でも「Twitterを見ました!」と言ってくださる方は少なくありません。その他、合同採用説明会やオンラインイベントなどにも積極的に参加して、応募者にサイダスを知ってもらうためのきっかけ作りを進めていきたいと思っています。

会社も創業10周年が近づき、新たなフェーズに差し掛かってきました。ここからは中途よりも新卒の採用を増やして、優秀な人材を「採用」するだけでなく、自社で「育成」する文化を作っていきたい。そのためにも会社の魅力や事業の面白さをきっちりと伝え、働く土地がどこであろうと、サイダスに共感してくれるメンバーを増やしていく必要があると考えています。

まとめ

UIJターン採用に力を入れたり、沖縄勤務をことさら促したりしているわけではないけれど、結果として、沖縄での雇用を活性化できている株式会社サイダス。「地方で働こう!」とうたうのではなく、面白い仕事ができる環境を地方に整えることで、自然な“人の流れ”を生んでいる印象でした。
しかし、その自然な地方転勤を支えているのは、サイダスのきめ細かなケアです。応募者と誠実にコミュニケーションをし、本人の希望や特性も踏まえながら、より充実した仕事ができる場所に配置していく。その後も本人が心地よく働けるよう、サポートを続ける。今後の情報発信の効果が上がれば、さらにサイダスには魅力的な人材が集まりそうです。

法人プロフィール

会社名:

株式会社サイダス

事業内容:

人事支援システム「CYDAS」の開発・販売・コンサルティング・サポート

設立:

2011年10月

従業員数:

96名

ホームページ: