UIJターン者成功事例

地元愛を糧にして、温かみのある採用活動を行う

日本が高齢化社会へと向かう中、介護の現場では人手不足が叫ばれています。そこにUIJターン就職というハードルが加わり、地方の介護サービス事業者は人材採用に苦戦を強いられています。そんな中、鹿児島県で事業を展開するニコニコタウンきいれは、地域内外で広く人材を採用することに成功し、また高い定着率を保っています。事業部部長の米倉留介さんに、UIJターン採用で成果を上げるための取り組みについて、話を伺いました。
※取材はzoomで行い、カメラマン、米倉さんは撮影前に抗原検査を実施した上でマスクを外しています

プロフィール

鹿児島県

ニコニコタウンきいれグループ
米倉留介(よねくら りゅうすけ)事業部部長

1975年鹿児島県生まれ。大学卒業後、鹿児島市内にあるデパートの食品売場で5年間働いた後、2001年にニコニコタウンきいれに入職。デイケアの現場で主任として5年間、ケアマネージャーとして8年間勤務してから、人事の業務などを担うバックオフィスへ。

現在の採用状況をどう捉えているか

地方の介護業界では、求人数の多さに対して就職希望者が少ないという実情があります。例えば、介護ヘルパー職の希望者1人を15社が取り合うような状況になっています。規模の小さい事業所は給料などの待遇面で劣ってしまうために人材不足から脱することができず、運営が行き詰まってしまうという事例もあります。

ニコニコタウンきいれでは、UIJターンも含めた人材採用を円滑に行うために必要なことは何かと考えて、まずは働きやすい職場づくりに注力しています。具体例を挙げると、三大介護と呼ばれている食事・入浴・排泄において機械化を導入していく取り組みです。入浴を介助する際には怪我などの事故も起きたりするものですから、介護ヘルパーにとっては身体的というよりも精神的な負担が大きくなります。事故ゼロを目指した機械化によって、負担が軽減されていることを就職希望者には説明しています。この他にも、手書きだった介護記録のカルテをデータ化して共有し、残業時間を減らして効率的に働けるようにするなど、さまざまな取り組みを行っています。

そのようにして仕事現場の環境や仕組みを整えていくのと同時に、関東の鹿児島県人会に私どもが参加して情報交換をするなど、各種イベントにも積極的に参加してUIJターン希望者に向けたアピールを重ねています。イベントでは鹿児島の食べ物や文化なども紹介して、希望者と良好な関係性が築けるように配慮しています。年2回ほどは東京や大阪で開催される移住フェアにも、地元の鹿児島市喜入をアピールするべく参加していますし、これからも都会での活動は継続していきたいですね。

現状、ニコニコタウンきいれのUIJターン採用者は数%程度ですが、少しずつ希望者の声が増えてきている実感があります。

採用活動の中で工夫していること

UIJターンの希望者には、実際に職場を経験していただくことも大事と考えています。私どもで借り上げている宿泊棟などがありますので、鹿児島での生活を体験していただきながら、決心の後押しをしています。その際には、ケアハウスや有料老人ホームなどの各職場を見ていただくのはもちろん、鹿児島の観光地もご案内しています。期間を決めて募集をかけるのではなく、希望者がいれば、随時受け入れるようにしているのもポイントです。志望している施設や職種などの聞き取りを行って、それぞれの要望に合わせた日程で、一人ひとりに対してカスタマイズした形式で取り組んでいます。過去には1ヶ月間ほど滞在された人もいました。

また、どの業界でも通常は履歴書と面接によって採用・不採用を決めているかと思いますが、ニコニコタウンきいれでは面接の前に、堅苦しくない雰囲気の面談を何回か行うようにしています。職場を案内するのはもちろん、今までにどういったキャリアを積んできたか、どういった理由で鹿児島での生活を希望するようになったかといった話をじっくりと聞いて、鹿児島での生活に関する不安などをぶつけてもらったりしながら、ざっくばらんに将来について語り合っています。例えば、お子さんが通う学校のことを気にされている人がいたら、こちらで関係者に学校について聞き取りするなどしてリサーチしたりします。

一緒に物件を回って家探しのお手伝いをしたこともありました。仕事だけでなく、暮らし全般の心配事が解消されるようにサポートするのが、この面談の目的です。他にも、船を所有している職員と一緒に海釣りに出掛けるなど、移住後の楽しい生活を肌で感じてもらう機会をつくっています。移住の促進を狙って、あらゆる動機づけを行っているのです。

WEBを利用した採用活動と今後の取り組み

都会で開催される移住フェアや、鹿児島で行う面談などの機会を通じて就職希望者に対して直接アピールすることと並行して、ホームページを有効活用するのも大事な採用活動の一つだと考えています。

ニコニコタウンきいれでは、鹿児島市と連携して「移住物語」というサイトを立ち上げています。ニコニコタウンきいれのホームページにリンクを貼っており、興味を持たれた方々が鹿児島市喜入地区の情報に触れられるようにしています。こうしたサイトを制作する際には、単純に地元紹介の情報を載せるだけでなく、実際に移住した人の声を掲載するなど、リアルな暮らしぶりを伝えていくのが重要なポイントです。単なる地元紹介でも企業紹介でもなく、移住後の楽しい暮らしを想起してもらうことがホームページを利用した採用活動の柱になるのではないでしょうか。

また、今年に入ってからは新型コロナウイルスの影響が続いていますので、ZOOMを利用して面談を行い、オンラインでの街歩きで地元の魅力をアピールしていくといった新しい試みにもチャレンジしたいと考えています。

まとめ

UIJターン採用で成果を上げるためにニコニコタウンきいれが行っていることは、以下の5つに要約されます。
1.自分たちにベクトルを向けて、UIJターン希望者に対して魅力的な職場環境を整える。
2.県人会の集まりや移住フェアなどを通して、UIJターン希望者との都会での接触ポイントを増やす。
3.地元での職場体験やお試し移住によって、実際に移住した後の仕事や生活をリアルに感じてもらう。
4.UIJターン希望者の不安解消を目的にして、面接の前段階で何度か面談を行う。
5.WEBを積極的に活用して、コロナ禍という逆境をチャンスに変える。

ニコニコタウンきいれの取り組みを取材して印象に残ったのは、高い視点です。自分たちの事業の未来を見据えているのはもちろんですが、同時に「鹿児島市喜入の未来」を考える、俯瞰した視点も有していました。自分たちの組織のみならず地元に誇りを持ち、それを発信していく。そのマインドがUIJターン希望者に届いたときに、目指すべき未来へと近づけるのだと感じました。

法人プロフィール

法人名:

「社会福祉法人喜入会」および「医療法人参天会」

事業内容:

ヘルスケア、介護、福祉事業等

設立年月日:

平成5年8月1日(社会福祉法人喜入会)・平成7年9月1日(医療法人参天会)

従業員数:

430名

ホームページ:

「地方人材還流促進事業」(LO活プロジェクト)事務局
パーソルテンプスタッフ株式会社

「東京事務局」
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