UIJターン者成功事例

費用をかけずに優秀な人材を採用する
「SNS・動画採用」の魅力

宮城県で新築住宅の建築・販売を行う株式会社あいホームは、コロナ禍による合同企業説明会中止を受けて、SNS・動画を活用した採用へシフトしました。かつての新卒採用者は、ほぼ仙台の学生ということでしたが、SNS・動画による手法に切り替えると、約7割が県外からのUIJターン者となり、優秀な人材を採用できているといいます。予算をかけずにSNS・動画で採用を成功させた秘訣を、伊藤社長に伺いました。

プロフィール

宮城県

株式会社あいホーム
伊藤 謙(いとう けん)代表取締役

2020年5月に先代社長の実父より代表権を引き継ぎ、新社長に就任。工務店のIT・インターネット活用を実践し、コロナ禍で前年比130%増の新規受注を実現。「100億企業、創業100年企業」をビジョンに掲げる。最新のIT機器やシステムを積極的に取り入れ、固定概念を壊しながら住宅業界のアップデートを推進している。

現在の採用状況

当社は、宮城県富谷市で新築住宅の建築・販売を行っています。
エアコン1台で戸建て住宅の全室冷暖房を完備する「全館空調の家」や、太陽光発電システム活用などにより、住宅で使用する年間一時エネルギー消費量を正味ゼロ以下にする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」などの環境に配慮した住宅をはじめ、自由設計やセミオーダーといったお客様と一緒に設計する新築住宅を扱っています。

採用活動は、コロナ禍で大きく変わりました。コロナ以前は、新卒採用のナビサイトへの掲載と合同企業説明会への参加が基本でした。しかしコロナ禍で合同企業説明会が中止となり、どうやって新卒採用を行っていくべきか悩みました。

ですがコロナ禍でも就活している学生は必ずいて、なんとかして企業にアプローチしようとしているはずです。そこでイメージしたのが、スマホで情報を探している学生の姿です。それならば、こちらもスマホでアプローチしようということで、採用チームのメンバーと話し合い、SNSを活用するという結論に至りました。

実施したのは、Instagram(インスタグラム)とYouTube(ユーチューブ)のライブ動画配信です。
毎日15分間、就活生に役立つ「就活情報」を語りかけました。13:00からはInstagram、13:30からはYouTubeと時間を決めて毎日の配信です。

実際に、SNS採用を実践してみると、いいことだらけでした。 合同企業説明会は、事前準備をきっちりして大量の荷物を会場へ運び込み、1日中ブースの前を通る学生に声をかけて立ちっぱなし。夕方には声がかれるくらいの重労働です。出展費用も、展示物の制作費も必要です。

しかしSNS採用は1回15分、椅子に座って語りかけるだけで無料ですから、労力も大幅に削減できてコストはほとんどかかりません。配信内容は、日々就活生に対して考えていたことを語りかけるのみのため、準備時間はゼロです。それでも年間100名くらいのエントリーがありましたので、SNS・動画のパワーを感じます。

このスタイルで2年間採用をしてきましたが、非常に優秀な人材が採用できています。
SNSを活用する学生は、積極的に情報を探してアプローチするタイプの学生が多いので、受け身の学生はいなくなりました。自発的に動ける熱量の高い学生ばかり採用できています。

採用活動の中で工夫していること

SNS採用は初めての経験なので、最初はお手本がなくて大変でした。ただアプローチがSNSやYouTubeになっても、発想は合同企業説明会時代と同じです。説明会でブースの前を通りかかる学生に「声をかけてチラシを配る」という行為が、SNSやYouTubeの動画配信になっただけなのです。

最初のうちは、東北の就活生らしいアカウントをフォローして、当社のアカウントに気づいてもらう働きかけを行いました。合同企業説明会のブース前でチラシを配布するイメージです。1週間もすると、徐々に閲覧数が軌道に乗るようになりました。
毎日配信を続けていると、意外に見てくれる学生は増えるもので、街中で「伊藤社長ですよね。インスタの配信見ています」と声をかけてくれる学生に出会ったのは驚きでした。

アプローチがオンラインになったことで、学生に対するアプローチのポイントも変わっていきました。コロナ前の合同企業説明会時代は、「当社のことを知らない学生に、どのように当社を知ってもらうか」が課題でした。しかしSNSの動画配信では、きっかけを「就活に有益な情報」が作ってくれて、その流れで当社のことを認知してくれます。つまり、会社の知名度による勝負ではなくなったのです。

当社で新しい取り組みを始める時に大切にしていることは、「全員で取り組む」という姿勢です。SNSや動画配信は、得意不得意が分かれる分野です。だから、しっかりとチーム体制を組んで、苦手な人もフォローできるような人員配置を心がけました。苦手な人が質問しやすい環境を作ることで、全員が積極的に参加できるようにしています。そして、時間がかかっても自分たちでやり切ることを重要視しました。そうすることでチームに一体感が生まれ、同じ方向に向かって進む熱量が出てきます。

また、リーダーに「変化することを怖がらないタイプを選ぶ」ということも大切です。配信に出演して話をしていたのは私ですが、採用チームのメンバーがいろいろな意見を出し合って実践してきたからこそ、ここまでたどり着けたのだと思います。

今後のアプローチ

今後もオンラインでの採用アプローチには、こだわっていきたいです。
コストもかかりませんし、様々な労力が大幅に削減できます。にもかかわらず、内定者の質は向上します。だからこそ今後は、配信するコンテンツの内容にこだわって、より当社に興味を持ってくれる学生と出会える場を広げていきたいと考えています。今期は、入社後も安心して働けることを感じてもらうために、「全社員と出会える動画」というものをやりましたが、もっといろいろなアプローチを考えていきたいですね。

来期は、採用をリ・ブランディングしようと考えています。
これまでの採用サイトを、一から作り直し、当社の理念に共感してくれる学生を採用できるようなコンテンツ展開を検討中です。日々手探りではありますが、チャレンジを続けていきたいですね。

まとめ

取材の最後に、採用で苦戦している地方企業へのメッセージをお願いすると、「予算をかけたことで、いい人材を採用できたことがありますか?」という問いが返ってきました。伊藤社長はこれまでの経験の中でも、予算をかけた時よりも「本気で取り組んだ時」にこそ、いい人材を採用できていたと語ります。熱を入れて語った内容が学生に届いた時、学生の気持ちにしっかりと届く熱い説明会ができた時、いい人材が採用できた時には、そんな熱量があったと語ります。
SNS・動画採用というと、難しいと思ってしまうかもしれません。そんな時は、ぜひ若手社員を信じて、託してみてください。難しく考えず、まずはチャレンジすること、そして継続することが結果に結びつくということを、伊藤社長は教えてくれました。

法人プロフィール

法人名:

株式会社あいホーム

事業内容:

新築住宅の建築・販売 / 不動産の売買・仲介・賃貸 / 住宅のメンテナンス / エクステリア工事 / ソーラー売電事業

設立年月日:

1959年3月15日

従業員数:

80名(役員・パート含む/2022年4月1日時点)

ホームページ: