中小企業採用担当者の
リアルなお悩み相談室

学生に知られていない会社は、
どうやって接点をつくればいい?

回答者プロフィール

松田純子
リープフロッグ合同会社 https://leapfrog-pr.net/
代表

早稲田大学卒業。エン・ジャパン(現エン)の求人広告コピーライターを経て、ワークスアプリケーションズ、博報堂グループのスパイスボックスで広報業務に従事。ゼロから広報部を立ち上げたスパイスボックスでは、初年度から400媒体以上の露出を実現。「広報活動によって1億円の売り上げに貢献した」として局長賞(社内アワード)を受賞。2019年3月にリープフロッグを設立。「外から来る広報マネジャー」をコンセプトに企業の広報、採用広報活動を支援。広報勉強会の主催や登壇、メディアでの寄稿、連載多数。著書「小さな会社の広報大戦略」(日経BP 日本経済新聞出版)

正直なところ、学生に会社の存在を知られていないことが最大の課題です。ナビサイトには掲載しているものの、そもそも検索対象にも入っていないのか、母集団がほとんど形成されません。
良い会社であるという前提に立って採用活動をしていますが、「知られていない以上、存在していないのと同じ」という感覚に近く、この状態からどうやって接点を作るべきか悩んでいます。

(新潟県長岡市/地域インフラ企業/40名程度)

■頭数を追うのではなく、会社の理解度を上げて選んでもらう

母集団形成は、ほぼすべての企業の採用課題とも言える難しい問題です。単純に広く情報を届けたい場合には、求人広告や合同説明会の参加など出会う機会を増やすことが考えられます。しかし、コストと手間がかかりますし、数ある競合企業のなかに簡単に情報が埋もれてしまいます。そこでお勧めしたいのが、まずは自社のブランディングから始めることです。「良い会社であるという前提」とのことですが、その情報を自社の強みや魅力として言語化し、社員の誰が説明しても学生が理解できる状態にします。これによって学生が「他社ではなく貴社で働く理由」を見つけることができ、採用成果につながりやすくなります。

昨今では、インターネットやSNSの普及が加速し企業が求職者に積極的に情報発信するようになってきました。過去には、とにかくたくさん人を集めて面接で合いそうな人を見つけて採用する会社も多かったと思います。しかし、今は最初から企業が事業の強みや社長の人柄、社内の様子などを発信し、それに興味を持った学生にエントリーしてもらうことが可能です。その意味では母集団の数は減ることもありますが、自社に興味を持った状態でエントリーをしてくれるのでマッチングしやすいと言えます。

 

■まずは自社の魅力の棚卸をする

会社をよく理解してもらい、選んでもらうための最初の一歩は、自社の魅力を棚卸しして学生向けに分かりやすく説明できるようにすることです。コツとしては、学生がこの会社で働きたいと思えるように、「何をしているのか」という単純な事実を伝えるだけではなく、「何のためにしているのか」「どこがすごいのか」など会社が及ぼす影響力まで具体例や画像、映像なども交えながら伝えることです。採用のために給与や福利厚生、仕事条件を変えることはできません。それ以外で学生が就職活動で重視する項目、例えば「事業の強み」「社会貢献性」「働き方」「キャリア」「職場の雰囲気」「どんな人が働いているのか」などについて自社の魅力、独自性を分かりやすく伝えましょう。

 

学生が就職活動の際に重視する情報は、マイナビやリクルートなど、さまざま会社がアンケート調査を実施していますので参考にしてみてください。

(参考)2027年卒大学生就職意識調査(マイナビキャリアリサーチLab)

2027年卒大学生就職意識調査

企業の魅力付けとして避けるべきことは、「休暇が取りやすい」「テレワーク可能」などの条件面のメリットを強調することです。そこに惹かれて入社した人は、条件が変わればいなくなります。会社の価値観や事業内容など本質的な魅力をしっかりと伝え、そこに共感して入社してくれた人は定着して長く活躍してくれます。また、特定のハードルの高い業務や残業など、学生が嫌がる情報も透明性をもって伝えることが重要です。それによってミスマッチを防ぐことができます。

 

■一度しっかり情報を整理すれば、更新しながらずっと使える財産になる

会社の魅力を掘り起こす際は、競合他社の求人情報や採用広報記事などを参考にして「他社との違い」を意識しながらまとめると効果的です。最終的には、画像なども入れてパワーポイントなどで採用向け会社案内資料(採用ピッチ資料)にするとさまざまな場面で活用できて便利です。

集めるべき情報は多岐にわたり、自社オリジナルの魅力を分かりやすく整理することは大変ですが、一度しっかりとまとめれば更新しながら長く使える会社の財産となります。

これらの情報は外部に発信するだけではなく、社内にもしっかりと浸透させましょう。社員自身にも改めて自社の良さを認識してもらえますし、万一社員と認識のズレがあれば修正していくことができます。社員の誰もが会社の強み、魅力を分かりやすく説明できるようになると、社員の周りにいる学生や求職者に直接会社を紹介することもできます。そのため、この資料は社員紹介での採用活動(リファラル採用)にも活用できます。

 

■学生に届く情報発信の方法

昨今、採用広報でよく使われているブログプラットフォームが、noteとWantedlyです。noteは無料でも利用できます。こうした場所で採用ブランディング向けにまとめた貴社の魅力を継続的に発信していけば、これまでは接点が持てなかった学生に出会うこともできるかもしれません。またほかの記事を読むことで、他社がどのような情報を「自社の魅力」として発信しているのかを知る手がかりにもなります。

このほか、一度まとめた情報は、自社のHP、ナビサイト、SNS、合同説明会、大学、地域コミュニティ、自治体の企業紹介サイトなど、学生に情報が届くさまざまな場所での発信に活用することができます。つまり、毎年必要な場所に最新版の情報を出すだけで、安定的に学生や求職者に自社の魅力を伝えることができるのです。これまでの採用活動に、採用ブランディングの視点を加えることでより効果的な採用活動を行うことができます。ぜひ挑戦してみてくださいね。

 

※この記事に掲載されている情報は、2026年10月にサイトに公開した時点での情報です。