実際の就活イベントの様子。


限られた予算の中で、いかに効果的な採用活動を展開するか──これは多くの地方・中小企業が直面する共通の課題です。そんな中、国や自治体の補助金・助成金を上手に活用し、採用力を高めている企業があります。
本記事では、実際に補助金・助成金を活用して採用プロセスを改善した企業の事例を取り上げ、当初の課題や活用した制度、成果までを具体的にレポートします。
「採用をしたいが予算が足りない」「広報に十分投資できない」。こうした悩みを打開するために、国や自治体が用意している補助金・助成金を活用する企業が増えています。背景には、以下のような採用広報費の一部を負担してもらえる制度や、新卒・若手社員の育成を支援する助成金など、採用活動に直結する制度が充実してきたことがあります。
※2025年10月現在
インターンシップ事業を行うにあたり、市外在住の学生などの交通費や宿泊費を企業が負担した場合に、交通費や宿泊費実費分を補助するもの。
今回事例として取り上げるのは、島根県に本社を置く「出雲ガス株式会社」(以下、出雲ガス)です。出雲ガスには、もともと人事部もなく総務担当者が採用までを行っていました。しかし、大学進学者が増えたために採用者の大多数を占めていた地元高校からの推薦が減り、入社数が減少。4〜5年前から採用チームを社内に結成し、大手就活ナビサイトを活用した大学生向けの採用活動を始めるようになりました。
実際の就活イベントの様子。
全国数多くの企業が競り並ぶ就活ナビサイトでは、見つけてもらうのも至難の業です。「画面上では大企業と同じ土俵で並んでしまうこともあり、地域企業ならではの等身大の魅力が埋もれやすくなってしまうと感じていました」と語るのは、出雲ガス採用チームの田中勉さん・勝部友香さん。「また就活ナビサイト以外で出雲ガスを知っていただく場面や機会がほとんどなかったんですよね。出雲市出身者の応募もない状態でしたので、きちんとお金をかけて採用広報を強化していく必要を感じていました」。
そんなときに活用したのが、島根県「新卒採用ブランディング支援補助金」でした。この補助金は「若年者へのアピールを意識した採用ブランディング」に対し、その経費の一部を補助するというもので、2020年に創設。採用活動に係るパンフレットやウェブサイト、SNSなどの制作・改修費、合同企業説明会等のブース装飾品の制作費などに充てることができます。
出雲ガスでは補助金を用い、有識者のコンサルティングを受けながら、「①採用サイトの改修」「②就活ナビサイトでのインターンシップ募集」を行いました。
採用情報に遷移するまでの情報が多い
お客様に向けた情報や企業情報などを整理し、1ページに見やすく配置。エントリーフォームへの遷移も容易に!社内の雰囲気・仕事風景、社員の顔が見えるギャラリーも新たに設置し、親近感や入社後のギャップを少なくする工夫を行った。
早期段階に学生と関わる機会として、以前から検討していたもののリソース不足で着手できていなかったインターンシップ。ガス工事や管理を体験できるインターンシップを実施し、当社のことを知ってもらいたいという思いで、就活ナビサイトでの専用ページを制作した。
結果
ホームページを見て興味を持った学生が増え、結果として応募者数は前年から約2.6倍になりました。またインターンシップを通して生まれたつながりからのエントリーも3名。出雲市だけではなく、岡山や広島など隣県からのエントリーもありました。
補助金の申請自体は、① 申請書の提出(2023年8月)→ ② 交付決定(2023年10月)→ ③ 実施報告書提出(2024年2月)→ ④ 補助金の入金(2024年3月)という流れで実行。補助金を知ったタイミングが締切直前だったこともあり、短期間での準備となったそうですが、県の担当者とこまめに電話でやり取りを行い、適宜確認を取れたことで順調に申請を行うことができたそうです。
田中さんは、「補助金の申請自体、初めての取り組みでしたが、県のご担当者さまや外部コンサルの方に何度も親身に相談に乗っていただき、無事に補助を受けることができました。外部の支援を積極的に受けることで負担は大きく軽減され、スムーズに申請ができたことがありがたかったです」と語ります。
続けて「補助金を活用することで、採用施策の幅が広がりました」と勝部さん。「採用広報のための制作に取り組んだことで、社内にノウハウも蓄積され、新しく動画制作にも挑戦することができました」。
新卒採用PR動画として制作された「炎結び-ENMUSUBI-」。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=RHaOv7ePAkE&t=6s
補助金や助成金の活用は、単にコストを抑える手段にとどまらず、採用施策の幅を広げ、より計画的で効果的な人材確保につなげる大きなチャンスです。ご自身の自治体や国の施策をチェックし、ぜひ打ち手の一つとして検討してみてください。
またLO活 for Companyでは、国が行うUIJターン者採用施策や、自治体別の補助・助成金情報をまとめています。ご自身の会社での取り組みに役立ててみてください。
自治体別 地方中小企業向け 助成・支援制度
URL:https://lokatsu-company.mhlw.go.jp/municipality/
助成金・補助金制度紹介
URL:https://lokatsu-company.mhlw.go.jp/subsidy/