

首都圏学生は、地方企業を
どう見ている?
就活生3人の鼎談から
採用のヒントを探る
就職活動を行う学生たちは、どうすれば地方企業に目を向け、「この会社で働きたい」と思うのでしょうか。本記事では現役大学生3人による鼎談(ていだん)を通じて、首都圏の学生が地方企業に対して抱いている本音を掘り下げます。採用担当者が知っておくべき、学生が求める情報・選ばれる企業の条件などを等身大の言葉から探ります。
今回の参加者
- 【Aさん】
(以下、A) - 首都圏私立大学 環境学部に通う大学3年生(27卒)。神奈川県出身。就活を始めようとまず登録したのは大手就活ナビサイト(マイナビ、リクナビ)。現在の志望企業は本社が福岡にあり、地方就活にも前向き。
- 【Bさん】
(以下、B) - 首都圏私立大学 情報学部に通う大学3年生(27卒)。神奈川県出身。記者や雑誌デザインなどクリエイティブ系の仕事を志望し就活中。インターン等を受けた会社にはいくつか地方企業もあり、魅力を感じている。
- 【Cさん】
(以下、C) - 首都圏私立大学 商学部に通う大学4年生(26卒)。群馬県出身。現在は内定をもらい就活を終えている。利益重視ではなく、社会貢献度が高い企業を中心に就活を行い、オープンワークで口コミもチェックした。配属先は地方ではなく首都圏に近いエリアを志望している。
地方就職を検討する中で生まれる不安
「安定した生活ができるか、やりがいを持てるのか」
──今回はぜひ率直な地方就職への印象を聞かせてもらいたいと思います。まず、地方企業に新卒で就職することや、配属・転属先が地方になることには、どんな印象がありますか?
A:わたしはいま志望している企業の本社が福岡県にあります。どうしてもその会社で働きたいという思いが一番にあったので、あまり「地方かどうか」は気にせずに就活を進めてきました。福岡県を条件に検索して見つけたわけではなく、就きたい業界を調べていく中でその企業に出会い、偶然、本社が福岡だったという順番です。
B:わたしは都会にはない自然豊かな景色を見るのが好きなので、地方にはもともと良い印象があります。記者志望で、ひとつの地域に密着し、その土地を深く理解しながら仕事ができたらとも考えているので、地方就職には前向きです。実際に、静岡県下田市や宮城県仙台市にも足を運びました。
C:わたしは群馬県が地元なので、地元企業からも志望先を探してみたのですが、なかなか魅力的だと思える企業情報に出会えませんでした。加えて、首都圏の企業と比べると給与や福利厚生面で少し物足りなさを感じてしまい、正直、候補にあがりませんでした。
A:確かに、給与や福利厚生は大事ですよね。仕事とやりたいことが一致していることももちろん重要ですが、一人暮らしが前提になる以上、企業が安定しているか、福利厚生や報酬が十分か、社宅制度はあるかなどは、わたしもしっかり調べました。奨学金返済制度がある企業に出会ったときは、素直に良いなと思いました。
──さまざまな企業を見ていく中で、どんなときに「良い企業だな」と感じますか?
C:働く上では、やはり「やりがい」も大切にしたいと思っています。就活中は実際に働いている社員さんの声を積極的に探して、それを参考に見極めていました。社員のみなさんがどんな思いで仕事に向き合っているかを丁寧に発信している企業は、自分のやりがいと重なるかもイメージしやすく、求職者に対して親切だと感じました。
B:特に説明会では、わたしも社員さんの様子をよく見ていました。正直、規模の小さい会社だと、社員さんの顔が暗く、あまり元気そうに見えないこともあって(笑)、「休日返上で頑張っているのかな…」と思ってしまうこともありました。そういう企業はいくら福利厚生が魅力的でも不安を感じます。エントリーや説明会までは行ってもインターン応募までは踏み込めないなと。
「魅力的な会社もたくさんあると思うのに……」
インターンや採用の情報に出会えず、地方に踏み出せない
C:インターン応募となると、本気度が増しますよね。
B:はい。本格的に就職を検討する企業は、できるだけインターンも参加したいと思います。ただ地方企業の場合は、その接点をつくるハードルが高い場合も多いですね。インターンに応募したくても、遠方まで行く時間や資金が足りなかったり、そもそもインターン自体を募集していなかったり……。
C:わたしも地方企業を見ていたとき、採用ページが用意されていなかったり、「インターンは行っていません」と書かれていたりする企業が多くて驚きました。マイナビやリクナビで見つけたあとは必ず企業のウェブサイトも確認するのですが、デザインがひと昔前のままで、「時代が止まっているのかな」と感じてしまうサイトも正直たくさんありますよね(笑)。
──ウェブサイト上の情報に、少し不足感があるんですね。
A:そうですね。わたしも福岡県の企業を検索していたときに同じような印象を持ちました。きっと魅力的な会社がたくさんあるはずなのに、情報発信が足りなくて埋もれてしまっている可能性もありそうだなと。
C:ネット上に情報がないと、その時点で候補から外してしまいます。就活の時期は心に余裕がなくて、一社一社を丁寧に調べ尽くすのは現実的ではないんですよね。そのために、「情報さえあれば魅力に気づけたかもしれない企業」に出会えなかったというパターンもあるかもしれません。
首都圏と地方との間にある就活時期のズレ
3月の就活解禁を待っていられない
──首都圏では就活がどんどん早期化している分、焦りを感じる就活生も多そうですね。
B:そうですね。大学2年生の冬に長期インターンに応募していたのですが、そこには大学1年生のうちからエントリーしている学生もいて、彼らが優先的に最終選考まで残っている印象があったので、「遅かった」と思うこともありました。
A:わたしの志望先も、地方に本社を置くとはいえ大企業なので、選考スケジュールはかなり前倒しでした。大学3年生の11月にES提出、12月に仕事体験、1月から2月にかけて面接があり、3月には内々定が出ます。大学3年生のうちに選考がほぼ完了するように組まれていますね。
B:わたしは地方就職も本気で検討しているので、企業情報も追いかけているのですが、27卒向けのものがほとんどないんです。3月1日の解禁日になれば開示されるのかもしれませんが、おそらく採用枠は1人か2人ほどで、すぐに埋まってしまう可能性もあります。中途採用が中心の企業も多いと思うので、そもそも新卒を募集するかもわかりません。周りがどんどん就活を終えていく中で、3月まで待つのは正直かなり不安です。本音を言えば、大学3年生の3月までに少なくとも1件は内定をもらいたいなと……。
C:情報開示のタイミングは、業界によっても異なりますよね。わたしはペットや生活雑貨関連の企業も見ていたのですが、そこも開示が遅くて「あんなに急いで動かなくてもよかったのかな」と後から振り返ることもありました。例えば「次年度卒の採用情報は△月から公開します」という一文だけでもいいので、ウェブサイトに目安が載っていたら、就活の計画は立てやすくなると思います。
まとめ:地方企業が首都圏学生に選ばれるために
首都圏の学生は地方企業に注目していないわけではなく、「判断材料となる情報が足りない」「就活スケジュールが合わない」ために地方企業を志望しづらい──3人の鼎談からは、そんな実情が見えてきました。
採用担当者ができることは、就活生の不安を埋める工夫。例えば、
①給与・福利厚生・社宅や支援制度など、基本情報を分かりやすく開示すること
②社員インタビューなどを通じて仕事のリアルややりがいを伝えること
③オンライン型の説明会やインターンなど、遠方からでも参加しやすい接点を用意すること
④次年度卒の採用方針や情報解禁の目安時期だけでも早めにウェブサイトに開示すること
などです。
首都圏の学生に「この会社だから行きたい」と思ってもらえる第一歩として、ひとつでも行ってみてはいかがでしょうか。
