中小企業採用担当者の
リアルなお悩み相談室

インターンシップはまだやったことがないのですが、
まず何からやればよいでしょうか。
全くの素⼈で教えて頂けると助かります。

回答者プロフィール

菊池龍之
michinaru株式会社 https://michinaru.co.jp/
代表取締役

1976年滋賀県生まれ。
同志社大学卒業後、人材総合企業にて採用・教育のコンサルティングに従事。
2011年、株式会社コヨーテを設立。
国内外300社を超える採用事例を研究し、独自の採用メソッド「ペルソナリクルーティング®」を確立。多くの企業の採用変革に携わる。
2020年4月、「変化を起こす挑戦者を創る」をミッションに、事業創造・リーダーシップ開発・採用といった組織課題を解決するmichinaru株式会社を設立。

インターンシップはまだやったことがないのですが、まず何からやればよいでしょうか。
全くの素⼈で教えて頂けると助かります。

(岩手県盛岡市/自動車ディーラー/社員100名程度)

新卒採用におけるインターンシップは欠かせないイベントになっています。リクルートの「就職白書2021」によると「およそ8割の学生がインターンシップに参加」しているようです。
こうした中でご質問者さんのように、これからインターンシップを始めようとする会社も増えています。一方、「やってはいるが、上手くいかない」という声も多く聞きます。
これからインターンシップを始める方も、インターンシップの難しさを感じている方にもヒントになる「設計のポイント」についてお伝えしたいと思います。

まず、インターンシップの目的を設定することから始めてください。
インターンシップの目的は、仕事の理解を深めることでしょうか? 社員を知ってもらうことでしょうか? 業界を知ることでしょうか?
インターンシップは期間や内容を含めて、自由度が高いイベントです。ゆえに、目的をきちんと捉えることが大切です。
「他社もやっているから」といったような理由でなんとなく始めても上手くはいきません。ある企業は「地域に愛される会社であり続けるために、地域の学生に事業活動を知ってもらう機会とする」という目的を設定されました。

どんな目的を設定するかによって、呼びかける対象や実施する内容も変わってきます。
インターンシップの一丁目一番地は「目的」を定めることです。

次に、インターンシップの実行計画を単年度ではなく、少なくとも3年計画で描いてください。インターンシップの実施において、多くの会社が課題として挙げるのが「現場の協力が得られない」です。いきなり現場に学生を呼んだとしても、どう接すれば良いのか、何をさせたらよいのか、戸惑ってしまうことが多いです。もしかすると初年度から現場体験ができる範囲は少ないかもしれません。他社と比べずに、まずは自社のできることを行い経験から学ぶことを重視してください。初年度は次年度に活かせる学びをどれだけ得られるかが大切です。3年ほど時間をかけて、自社らしいインターンシップを完成させることを目指してください。

 

3つ目に、どのような就業体験プログラムを用意するかについてです。ここで大切なのは2つの視点からのプログラムづくりです。
ひとつは会社側からどんな就業体験を提供したいかという視点です。その際は改めて自社の仕事の流れを整理してみましょう。例えばメーカーであれば、「研究→設計→製造→販売」など、です。この仕事全体の流れを整理した上で、どの部分の就業体験を行うかを考えてください。

もうひとつの視点は、学生からの視点です。自社と合う学生に出会うためにも、まずはどんな学生に来てもらいたいかを考えることが大切です。体験してもらいたいことを「商品」とするのであれば、その商品を届ける相手が「学生」です。
学生とひと言で言っても様々な学生が存在します。どんなことに興味を持っている学生なのか、できるだけ具体的にイメージしてください。そして自分たちが提供したい就業体験の内容は、その学生に喜んでもらえるのか、その告知内容で興味を持つのか。学生側の視点からもインターンシップのプログラムを考えてください。

最後に告知についてです。インターンシップの企画を頑張って設計したが誰も参加してくれなかった、という悲しい結果も聞いています。
学生の立場からすると「ほとんどの会社が似たような就業体験ばかり。違いが分からない」というのが本音です。「〇〇の仕事を体験」とか「〇〇スキルが身につく」といった謳い文句が並びますが、学生からすると「だから何?」です。

告知の時にはインターンシップの特徴だけでなく、参加する学生のベネフィット(利益)も一緒に書くようにしてください。例えばマーケティングのスキルが身につくことで、面接時の自己PRを考えることができるようになる、など。
また、どんな学生にとってこのインターンシップは役立つのか、もハッキリ明記しましょう。誰でもいいでは誰も来ません。来て欲しい学生を具体的にイメージして告知文章を書いてください。

以上、インターンシップを設計する際のポイントについてまとめました。
インターンシップは採用後のミスマッチを減らす上でも有効な手段だと言われています。
今回のポイントを参考に、まずは第一歩を踏み出してください。

 

※文中の写真はイメージです