UIJターン者成功事例

採用難職種でも全国から人材が集まる
地方企業が実践する手厚い教育と採用広報

愛媛県の株式会社コラボハウスは、注文住宅の設計から建築までを扱うハウスメーカーです。営業担当者を置かずに、設計士がお客様対応を担当することで、よりお客様の要望に沿った質の高い設計提案を実現し、効率的な事業運営を可能にするビジネスモデルで、急成長しています。そんな事業の急成長に応じて、社員数の拡大にも成功している採用手法について、代表取締役の松坂直樹さんに、お話を伺いました。

プロフィール

愛媛県

株式会社コラボハウス
松坂 直樹(まつさか なおき)代表取締役

国立大学の大学院を卒業後、鉄鋼メーカーのエンジニアとして製造技術開発やインドでの新工場立ち上げプロジェクトに従事。その後、外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに転職し、経営コンサルタントとしてデータサイエンス等を経験。友人の紹介で異業種から株式会社コラボハウスに参画し、2024年社長に就任。営業担当を置かずに、設計士が顧客対応を担当する、新たなビジネスモデルを構築することで、事業を急拡大させている。

現在の採用状況

当社は愛媛県に本社を構える、ハウスメーカーです。
営業担当者を置かずに、設計士自らが顧客対応を行う「設計士とつくるデザイナーズ住宅」をコンセプトとしています。営業担当者を置かずにコストを抑え、設計士自らがお客様の声を形にするため、より質の高い住宅を提供でき、高い評価をいただいています。

おかげさまで、注文住宅の着工棟数も伸びており、2020年に約250棟だった着工数は、昨年330棟を超えました。この事業の成長に応じて、社員数も年々拡大を続けており、ここ3年間で2倍以上となりました。新卒が20名程度、中途も35名以上を、毎年採用し続けています。首都圏を含めた県外からのエントリーも多く、直近4年間では29都道府県出身の人材を採用しました。静岡や仙台、北海道など、コラボハウスと地縁のない地域からIターンで入社する社員も増えています。

当社が求めているのは、設計力だけでなく、お客様とのコミュニケーションを通じて提案まで担える「営業的な役割も果たせる設計士」です。こうした人材は採用市場でも少なく、人材確保には苦労しています。

そこで、当社が実施しているのが、新卒も中途も手厚い教育制度を用意することです。新卒社員に関しては、1年をかけて徹底的に座学で当社のやり方を学びます。建築現場で会話される内容は、すべて把握できるレベルまで学び、並行して営業的なアプローチについても学んでいきます。研修の終了時にはテストを実施し、合格しなければ現場に出られない制度設計にしています。

中途社員についても、最低1カ月の受け入れプログラムを実施し、入社後のフォローを徹底しています。また、新卒・中途問わず、定着支援として配属後1・3・6カ月後に担当役員との1on1ミーティングを実施しています。

このような「手厚い教育」に関しては、採用の様々な場面で説明しています。
新卒の合同説明会では、この教育制度の説明の段階で、モチベーションが上がる学生と下がる学生に二分されます。ただし、ここでモチベーション高く入社してもらうことで、非常に高い定着率を維持しています。

また中途採用の場面では、カジュアル面談や1次面接の段階で、代表である私自らが想いを伝えることで、着実に採用数が伸びていることを感じています。私自身の業務の中で、現在採用に関する業務が3割くらい占めていますが、これでも減ったくらいです。代表自身が採用に関わらないと、いい人材を採用するのは難しいと感じています。

採用活動の中で工夫していること

採用に関して意識しているのは、「企業の認知が重要である」ということです。
採用において当社を知っているか、どのような特徴があるのかを理解してもらえるのかは、非常に重要であると考えています。

しかし、テレビCMのような「広告」には、莫大なコストがかかります。そのため、最近注力しているのが「企業広報」です。PR会社に業務を委託し、様々な取材機会をつくってもらっています。依頼前は1年に1回程度だったインタビューが、依頼後は1年で60回以上に増え、新聞やビジネスメディアなど多くの媒体に当社の情報が掲載されることで、結果として県外からの応募者との接点が増えました。

こうしたインタビュー記事は、ビジネスマーケット上で展開されるものなので、採用においては、これらのインタビュー記事へリンクして活用します。インタビューでは、あえて採用に関すること、入社後の研修などにも触れるようにしているため、「手厚い教育制度に関するインタビュー記事はこちら」というようにリンクして読んでいただいています。第三者が伝える記事やニュースは、私たちが直接伝えるのとは違った届き方をすることを実感しており、実際に読んで選考に臨んでいただくケースも多いです。また、40社以上の転職エージェントにも記事を共有しています。これは、記事を通じて会社の考え方や求める人材像を理解してもらうことで、紹介時のミスマッチを減らすためです。

新卒採用に関しては、内定者フォローにも力を入れています。
全員に一括した対応は行わず、案内となる手紙は手書きで個別に書く、選択に迷っている学生には、中途入社の社員との面談で他社との違いを説明するなど、各個人に寄り添ったフォローを行っています。

そのようなフォローを強化することで、辞退率は大きく減少しています。また、残念ながら他社に入社した学生が、中途採用で当社に入社するというケースや、後輩をインターンに紹介してくれるようなケースも増えています。

今後のアプローチ

当社では、「地方から住宅業界の未来を切り拓く」というテーマで、社員一人ひとりが対応できる業務範囲を拡大する取り組みを行っています。

今後の我が国における労働人口の減少は、地方企業にとっては大きな危機になると考えています。そのため当社では、一人ひとりが幅広い業務に対応できるよう、多様なスキルを身につけるための教育機会を重視しています。
ただ業務範囲を広げるということは、それだけ様々な対応に時間が割かれます。
だからこそ、DX推進に注力しています。

例えば、これまで関わった3,000件以上の物件データから図面・写真・施工履歴を検索できるようにするなど、ITツールを活用することで稼働時間を短縮できれば、本来その社員が大切にすべき業務に注力する時間を増やすことができます。そのため、設計だけでなく、マーケティングや採用など、多くの部門でDX推進を実施しています。

一方で、採用に関しては、効率化とは反対の個別対応を行っています。
採用担当者には、エントリー者一人ひとりと向き合う時間をしっかりと確保してもらうことが大切です。そのため、それ以外の管理業務的なものは、ITツールを活用して効率化していきたいと考えています。

そのような発想から、複数分野の業務を担当できる社員と、顧客満足度の高い住宅を建築することで、地方から住宅業界の未来を切り拓いていきたいと考えています。

まとめ

株式会社コラボハウスは、地方企業の代表的な課題に真正面から取り組み、成果を上げている企業だと感じました。「採用において認知は重要である」ということは、多くの企業が感じていることだと思います。ただ認知向上のためにPR会社を活用し、採用広報でも応用するという発想は、なかなかできていないのではないでしょうか。その際にポイントとなるのは、採用視点で価値となる「手厚い教育」のような切り札(記事のネタにしやすい訴求ポイントでもある)だとも思います。一方で、効率化できるところは徹底的に効率化する。そして、人に向き合うところはむしろ非効率なくらい時間をかける。このメリハリも、見習うべき点だと感じました。

法人プロフィール

法人名:

株式会社コラボハウス

事業内容:

住宅・店舗の設計・工事及びメンテナンス リフォーム工事

設立年月日:

平成20年6月2日

スタッフ数:

167名(2025年現在)

ホームページ: